2006年11月アーカイブ

 灰谷健次郎さんが死去 社会派の児童文学作家 from 東京新聞 2006.11.23

 本を読む際に、しっかりと構えてからでないと読めない本がある。構えて読むというのは、精神的に落ち着きを持ちつつ、読み終わるまで妨げが入らないような環境で読むことをさす。通勤の行き返りに断続的に読むとか、寝る前に読むとかすると、本の内容がまるで伝わってこないような本とでもいおうか。こう書くと大げさに聞こえるだろうが、映画館でなければ見る価値がないような映画みたいな本のこと、と例えられるかもしれない。

 私にとって、灰谷健次郎氏の本はそういう本だった。

 19日投開票の沖縄県知事選、関心を持って見守ってきましたが、残念ながら野党統一候補・糸数さんの当選はなりませんでした。非常に競っていただけに、やはり米軍基地問題とならんで、経済問題も深刻かと思わせる結果でした。
 ただ、4年前の同知事選から考えれば、今回、勝っても不思議ではない状況を作り出したことは、大いに評価していいと考えます。10数万票差で負けた状況から互角にまで押し返した力の意義は大きいです。きちんと政策で合意をつくり協力すれば、大きな力を作り上げられることができるのが示されたのですから。勝利が現実味を帯びていた分、悔しい気持ちも大きいでしょう。だからこそ、今回の力をちゃんと見極め、何が足りなかったのか、本土の人間としても考えたいと思います。

 前のエントリーで「安倍首相にエールを送る人」と紹介した同じ人のコラムが秀逸でしたので紹介したいと思います。
 日経ビジネス「NBonline」で宋文洲(そう・ぶんしゅう)さんという中国人ビジネスマンが連載している「宋文洲の傍目八目」というコラムの最新号「自国文化に誇りを持つ“過ち” 」です。

 安倍首相にエールを送ったコラムは、個人的に変だと思ったのであのような紹介の形になりましたが、この方の書くことは、立場の違いはあるにせよ、頷かせてくれることも少なくありません。今回もそう思わせてくれる一文でした。

 教育基本法「改正」案が衆議院を通過したその日は、朝から所属する労働組合の街頭宣伝に参加していた。
 朝は会社の近くの駅で、「教育基本法改悪に反対します」の小さなビラの入ったティッシュを配る。50分ほどで、用意した400個のティッシュがなくなった。「ティッシュはやっぱり受け取りがいいよね」と同僚の組合員。たとえティッシュ目当てでも、メッセージが目に入ることは悪いことではないと思う。

 「やらせ」質問を仕込んで、国民から意見を聞いた形だけ作って、都合の悪い質疑にはまともに答えないまま、数と審議にかけた時間数だけを頼りに「採決」された教育基本法改定案。これが成立すると、「やらせ」で他者の意見をねじまげ、都合の悪いことはスルーするような人間が、「愛国心」や「公共の精神」とやらを、教育を通じて国民に植えつけるためにいろいろしてくることに、「法律的根拠」が与えられるってことになるのだな。なんとも「美しい国」になったものよ。

 こういう人間は、とにもかくにも法律を変えて根拠を与えれば何やってもいい、と考えているように見える。そんなことして教育に介入したところで、そう遠くないうちに破綻することは目に見えていると思うのだが。

 いずれにしろ舞台は参議院へ。突っ込みどころを山積みしたまま法案を通すわけには行くまい。

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