東京都知事選:浅野氏の「本気」度を測りかねる。私は吉田氏を支持する。

浅野氏が正式出馬表明 都知事選、石原氏と対決色 from 東京新聞 2007. 3. 6
2007年3月6日 出馬表明をいたしました(出馬表明に当たって=PDF/203KB) from 浅野史郎夢らいん 2007. 3. 6

 ついに浅野史郎氏が正式出馬表明。これで主な候補が出揃った形になった。
 一通り浅野氏の政策を読む。骨子ということもあって、内容はいたってシンプル。書かれてある政策について、個別には違和感のない政策もあるが、個人的にすでに支持することを決めている吉田万三候補の政策(吉田万三の「都政改革プラン」)の具体的かつ的確(と私は評価している)な内容と比較すると、上手くはいえないが大事なコアの部分で何か足りないと感じる。出馬に前向きになってから正式の出馬表明まで間がなかったという事情もあろうが、その点についてはおそらくこれから出るであろうより具体的な政策を見るしかないだろう。

 実際、8年にわたる石原都政のおかげで、東京が抱えてしまった問題は実に多岐にわたる。問われているのはそういう都政をどのように転換するかだ。吉田万三氏の政策が膨大になっているのは、その反映であろう。吉田氏の提案する政策のように、抜本的・根本的に都政の政策の方向を変え、社会的弱者(子供や高齢者、低所得者など)が安定した生活を送れるような政治にしていかなければならない。その方向が具体的かつ明瞭に示されていると考えているので、私は吉田万三氏を支持する。

 そして自分が王様と勘違いでもしているかのような石原知事の振る舞いは、いい加減目に余るものがある。なんとしても都知事は変えなくてはならない。
 その点で、私がどうしても気になるのは、今回の都知事選に対する浅野氏陣営の「本気」度である。

 浅野氏が出馬表明した3月6日の東京新聞の朝刊1面に、民主党が浅野氏支援を決定したと報じる比較的長めの記事が出た(ネットには非掲載)。記事は浅野氏支援決定に至る民主党のこれまでの動向をまとめたものだが、その最後に「党都連幹部は同日、浅野氏側から数日前、民主党に支援要請があったことを明らかにした」との一文があった。
 これが事実であったとするなら、浅野氏が今の石原都政を転換しようとしているのは本気なのかどうか大いに疑問であると思わざるを得ない。それはなぜか。

 ここにきて石原知事と対決姿勢を示し始めた東京の民主党だが、2年前の都議選のあと、同党は都議会で知事提案の議案に100%賛成をしている。都議選のときは知事とは是々非々で対応するといっていた同党のこの振る舞いは、石原都政に「非」はなかったと言っているのとまったく同じであるだろう。いわば東京の民主党は石原都政に諸手を挙げてOKと言ってきたのだ。
 その民主党に支援要請をする浅野氏の姿勢は、とても理解できるものではない。出馬に際し「今、ここで立ち上がり、石原都政にストップをかけなければ、東京や都民にとってだけでなく、日本の政治にとっても取り返しのつかないところまでいってしまう。」(出馬表明にあたって 東京都知事選挙出馬の理由)といいながら、浅野氏が問題視している2期目の石原都政の後半2年間を、100%OKと言ってきた民主党に支援を要請するのは、どう考えても辻褄が合わない。おかしい。支援要請が事実なら、浅野氏は筋の通る説明をせねばなるまい。

 まあ、見方を変えれば、7月の参院選をにらんで「対決姿勢を演出」したかったのに、ドタバタの末結局独自候補を立てられなかった民主党の弱みをついて、推薦は受けないが支持をせざるを得ないよう(=石原支持に回らぬよう)に持ち込んだ浅野氏側の「高度な戦術」とも見えなくもない。民主党は独自候補を立てられなければ、また前回のように分裂して石原支持に回る勢力も出かねないからだ。記事に書かれた支援要請の話は、同党都連幹部の話として出ている。にっちもさっちもいかなくなった同党が、面子を保つため、浅野氏側に「そういうことにしてくれ」と頼み込んだ結果かも、と勘ぐることもできる。

 だとしたら、浅野氏の「本気」度を測るには、同氏が都知事選告示までにどういう行動に出るかによる。「本気」で都政転換を考えているなら、勝手な提案ではあるが、3月22日の告示前までに浅野氏は吉田氏側に会談を申し入れてはどうだろうかと思う。もちろん黒川氏にもだ。そして会談の結論はあえて用意せず、都政の将来について意見を交わす。
 これは、都知事選に前に、都民の要求がどこにあるのかを、予定候補同士で確かめ合う作業になる。その要求と都政転換の方向性について、大まかでも一致できるものがあるのなら、それは都民に対する新たな選択肢の提示となりうるだろう。それはとても有意義なことであると思う。たとえどのような形で選挙戦が闘われることになってもだ。対石原氏などという構図がかすんでしまうぐらいのガチンコの政策論争を、候補者が本気で激しくした方が、よっぽど石原氏に勝てる可能性を作ると思うのだが。

 近頃、浅野氏の都知事選出馬を巡って、主に浅野氏を支持する人たちを中心に「とにかく石原をおろさなければいけない。こっちのほうが当選しやすいから、その他の候補はひっこんでろ」的な主張をよく目にする。
 でも、そんなことではこれまでの石原都政を全面的に支持してきた民主党に支持されて、それで浅野氏は本当に都政を転換できるの?という疑問はまったく払拭されない。この手の主張を目にするたびに、石原知事の交代は、ひどい都政の転換、よりよい都政を実現するための手段のはずなのに、いつの間にかそれが目的になってしまっていると感じてしまう。石原知事さえ交代させれば都政の方向性が転換されなくてもいいの?という疑問には、どう答えるつもりなのだろう。
 こんなネガティブなことを言うぐらいなら、繰り返すが、候補者間で政策論争をガンガンにやって、浅野対吉田とか浅野対黒川という構図を作り上げるぐらい、石原氏の言うことが霞んでしまうぐらいの選挙戦をしたほうが本当に有意義だと思う。みなさんはそう思いませんか?

 まあ、実際はなかなかそうはいかないのも現実ではある。だからこそ、浅野氏が告示までにどういう行動をとるかに注目する。「今までの東京都知事選挙ではなかったような形の選挙を、今回の選挙でぜひ実現したいと考えています。」(出馬表明に当たって=選挙についての基本姿勢)というのだから、それがどのように行われるかしっかり注視したい。

 そこで、私なりに氏の「本気」度の高さが伺えない限り、吉田万三氏の支持を変えることはないだろう。

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このページは、moony(M. H. Square.)が2007年3月 7日 01:28に書いた記事です。

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