誠実さー異なる他者ときちんと向かい合うために

 誠実さというのは実に難しい。丁寧に振る舞っていれば誠実かといえばそうではない。他者の尊厳に対する敬意がなければ、誠意は伝わらない。

 会社の先行きについて、飲み会で先輩とひとしきり議論した。新たな収益源を作るためには、ネットビジネスでもどんどんチャレンジすべきと、彼は言う。今の局面で収益につながるネットビジネスなどほぼないと言う私。彼は「なにもしないでダメとしか言わない。話にならない」と怒り心頭だった。私は「そんなこと言っても、考える限り可能性は少ない。それよりいかに顧客とつながるか、その仕組みなり取り組みがまず必要」と言った。
 やってみなきゃわからないじゃないかという彼に、現状を考えたらまず無理と返す私との、平行線の議論がしばらく続いて、かみ合うことなく議論が自然終了した。

 話が終わった後、彼のさらなる大先輩から、言葉が足りないとお叱りを受けた。曰く「ダメというなら、なぜそうなのか、納得してもらえるまで丁寧に説明すべき」と。相手にきちんと納得してもらうための話をしていないのがダメだ、とのこと。

 至極ごもっともである。自分の担当業務であることもあって、いつの間にか上から目線になっていたようだ。そんな話し方では相手が怒るのも無理はない。自分がやられたら頭にくるのだから、当然だろう。

 異なる他者と、きちんと向かい合うことが出来るか。「誠実さ」の核心がここにある。
 日本国憲法の前文にもあるが、誠実さと言うとき、それは異なる他者たちと、丁寧に話し合うことを求めている。

 いかにまじめであろうとも、他者の尊厳への敬意がなければ、それはただの独りよがりに過ぎない。他者の尊厳への敬意があってこそのコミュニケーションだと思う。

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このページは、moony(M. H. Square.)が2009年9月10日 01:35に書いた記事です。

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