日航経営問題 - 踏み込むべき所に踏み込まない民主党政権の半端さ

日航問題 原因と責任は/空港乱造、経営を圧迫 from しんぶん赤旗 2009.10.29

 かねてより、日本は空港を作りすぎだと思っていたし、しかも都市部から妙に離れたところに作られているから不便で、よほどのことがない限り、国内の移動には飛行機を使ってこなかった。いくら飛行機が速いと言っても、目的地までの所要時間にあまり差がなければ、鉄道かバスで十分だからだ。

 日航の経営不振の問題は、もちろん当の日航自身の経営のあり方に由来するところが多いが、加えてそういう日航によってたかって、空港建造という公共事業を乱発し、空港完成後も無理矢理日航に就航させて高い着陸料をふんだくるという構図を作り上げてきた国や行政や自民党との癒着の体制にもある。このことは、古くから指摘されてきた問題でもあり、政権交代がなったいまこそ、それらの諸問題を改める絶好の機会でもあるはずだが、そういう過去の経緯に踏み込まないところが、今次民主党政権の半端なところと言わざるを得ない。
 ハブ空港云々以前に、手をつけるべき問題があると思うのだが。

「10円の値上げ」が奪うもの

 毎年7月から9月にかけては、労働組合の人事が行われることが多く、自分が所属している労組も例外ではない。
 その人事で、所属している労組(企業内組合)に加えて、上部団体である産別労組直属の個人加盟労組の執行委員を引き受けることになった。一般にオルグ加盟と呼ばれる、活動支援のためで、私は今いる会社の組合にも所属しているので、これで2つの組合に所属する「二重加盟」になる。

 先日、その個人加盟組合の定期大会があって、その大会終了後、あいさつもかねて交流会に参加した。その席上である組合員が「もうカップヌードルも食えなくなるかも」と切り出した話が強く印象に残った。

際限なき規制緩和が行き着く「所」か:水俣病関西訴訟最高裁判決、国と県の責任認める

水俣病、国と県に責任 最高裁で初の判断(共同通信) from Yahoo!ニュース 2004.10.15

 発生からあまりにも長い時間がすぎてようやく真っ当な結論が出た。あまりに遅い結論ではあるけど。今さらなので、詳細は触れないが、とにかくよかったと思う。

 で、このニュースを聞いて考えたことを。

貧富の格差は開くばかり。労働者よ賃上げを求めよ!大企業にはカネがある

トヨタ自動車最終利益1兆円 で、喜んでいるのはトヨタ本社だけ?

トヨタ決算:日本企業初の最終利益1兆円超えを達成 from MSN-Mainichi INTERACTIVE 今日の話題 2004.5.12
トヨタ/純利益1兆円 その裏で/「非常識への挑戦」の名で連続コスト削減 from しんぶん赤旗 2004.5.14

 最終利益が1兆円超えなら、ついつい笑顔も出てしまうでしょう。>張社長さん
 でも、働いている人や発注先企業などが潤っていないとしたら・・・

「牛丼」消滅で考える食糧安保

 遅くとも2月下旬までには大手チェーンの店頭から牛丼が姿を消す、というので、各メディアがその動向を取り上げている(たとえば、牛丼:迫るXデー 底つく在庫、「安い」「早い」の行方は? from 毎日新聞 2004.1.31 など)。
 その取り上げ方といえば、看板の「牛丼」というメニューを失う各社がどのような対応をしているかということが中心で、中には日本の近代的ファストフードの草分けがなくなると惜しむ論調で報道するテレビもあったりする。アメリカ産の安い牛肉が入ってこなくなったことで、「早くて安くてうまい、庶民の味方」の牛丼が、今後どうなっていくかを、メディア全体で心配しているように見える。

 でもこの問題には、食料自給率が極端に低いこの国の、何かあったときの食料確保という点で、根本的な弱点が明らかになったという側面があることを指摘する報道をほとんど見ていない。カロリーベースでの食糧自給率が5割を下まわる日本は、世界でも有数の食糧輸入大国だが、その食糧輸入がストップした時にどういうことが起きるか。それを端的に示したのが今回のアメリカ牛BSE発生事件事件ではなかったかと思う。

所詮は短期の持ち直し

 Asahi.comによると、竹中経済相が提出した1月の月例経済報告の基調判断に、事実上の「景気回復宣言」が盛り込まれたそうな。(月例経済報告の基調判断、3年ぶりに「回復」 from asahi.com : 経済)
 本当に景気回復となれば結構なことではあるが、「回復基調」なのが輸出と企業設備投資、そして企業収益が中心であり、個人消費も「持ち直しの動き」と評価するものの、内需見通しのバロメーターとも言える雇用は依然として厳しいのは、輸出頼りと大企業を中心としたリストラ効果による回復であって、個人消費を軸とした内需拡大の回復ではないことは誰の目にもはっきりわかる。単純な話、国内で企画・生産・流通させても売れないから、リストラによるコストダウンで輸出で海外に売りまくるということであり、輸出先諸国の景気次第の面もあるから、長続きはしないだろうと見ている。実際にこの国で生活している一般国民に「回復」の実感がないのは当然だろう。
 経済の各種指標が景気回復傾向を示し、実際に企業収益も回復に動きつつ、一方で失業率も増大するという「ジョブレス・リカバリー」という現象が欧米で出て来つつあるらしい。企業は業績を回復する一方で、雇用が回復しないので一般国民は疲弊するというこの現象。いよいよ日本でも顕在化してきつつある。このままでは、個人消費の主役である一般国民はどんどん相対的貧困化していくだけである。

ベアが「異例」だなんて・・・

Asahi.comに「日産労連は異例のベア要求へ」なんて記事が載っていたけど、賃上げ要求を「異例」などと書くのは、いったいこの記事の記者は誰のために書いているのかねぇ。
 まあ、多くの大手労働組合は、これまで賃上げ要求を控えてきたから、久しぶりの「賃上げ要求」が異例に映ったのかもしれない。
 しかしまあ、労働組合もなめられたものよ。賃上げを「異例」などと書かれてしまうのだから。しかも朝日に。
 まだしばらくは、働く人間に日の当たることは少ないだろうなあ。今年も。あ?あ。