04年参院選:「変わりなき日常」に戻ることだけはやめよう

 04年参院選が終わった。これを書いている時点で結果は確定していないが、どうやら民主躍進、自民後退の様相である。推定投票率は56%で、ほぼ前回並みという。年金、イラク、自衛隊、憲法、消費税、景気対策など争点は山盛りだったと思うのだが、それでも投票に行く人を大きく増やす要因にはならなかったのか。
 コイズミブームだけはもう終焉したと言えるだろう。改選議席を割りそうな状況には、3年前の大勝の勢いのかけらさえない。小泉政権にNo!という意思は示されたと思う。
 ただ公明党が改選議席を押さえたことで、引き続き与党が過半数をとり、国会勢力の大勢にあまり変化が出ない結果ともなった。与党過半数ということで小泉首相は続投を考えているらしいし、これで本当に変化は起こるのだろうか?と思ってしまうところでもある。おまけに改憲派議員の数がさらに増えたし。これで安易な改憲論議がさらに罷り通ることになりそうで、一方ではいやな気分になってしまう。

 まあいい。兎にも角にも「国民の意志」は示された。これが「終わりの始まり」(小泉政権の?、それとも日本という国の?)なのか、来るべき大変化の予兆なのかはわからない。私なぞは、政治も社会ももっと混乱したほうが、かえってこの国のためになると思っているクチだが、多くの人はどうも急激な変化は望んでいないように見える(私がそう見ているだけだが)。

 ただはっきりしているのは、選挙が終わったからって当選した議員に任せっきりにしていいってことではない、ということだ。選挙のときだけいろいろ公約しておきながら、当選したら違うことをするという振る舞いをさんざんに見せつけられてきた者としては、当選した議員に対して「フリーパスを渡したわけじゃない」という意志表示を、事あるごとに表明しつづけていきたい、と考えている。
 その具体的な方法はなんでもいい。たとえば労働組合に入るなり作るなりしてストライキをするのもいいだろう。労組を「時代に取り残された古い集団」と思う人も多いだろう。しかし小泉政権下でさんざんリストラで痛めつけられたサラリーマンを始めとした労働者たちの働きと犠牲の上に、最近喧伝される「景気回復とやら」が始まったのなら、「その成果の分け前を俺たちにもよこせ!」と暴れ回って何が悪いのか!と、本気で思う。理不尽なリストラ策に対抗して、プロ野球選手会(彼らだって立派な労組である)がストライキを構えるかどうか検討に入るほどだ。メディアや財界のお偉方の「お小言」なぞ気にする必要もない。大いに闘え!である。
 年金問題にしても何にしても、不満があるなら街にでてデモなりなんなりをすればいい。掲げている要求に、自分の考えがマッチするなら、誰が主催していようが(どういう党派・勢力がやっていようと)どんどん参加して声をあげればいい。
 とりあえずそういう行動が身近にないならば、ネットなどでどんどん意見発信をしていけばいい。既存のマスメディアにもいろいろと意見を届ければいい。

 こんなことを書くと、そんなことほとんど意味がないと思う人がほとんどだろう。確かにこれまではそうだった。デモをしてもネットで意見を公表しても他になにをしても、現体制にそれが反映されることはあまりなかった。
 しかし、である。今回の参院選の結果を、そんな状況下での「貴重な変化の始まり」と捉えるなら、過去の結果にとらわれることなく、その変化の芽を絶やさぬよう、個人個人が出来る行動を始めようではないか。日本は1億2千万人余が暮らす地域だから、変化も劇的には進まないだろう。昔は考えもしなかったことが、今では普遍的な価値を持ちつつあることだってあるのだから、変化が目に見えないからってあきらめる理由もないだろう。

 参院選を前に@バルセロナ from muu.jp@Barcelona 2004.7.7

 muu.jp@Barcelonaさんの上記の記事には、3月にスペインで起こったテロとその直後のスペイン総選挙、そしてその後のことが書かれている。
 テロ発生直後に、スペイン全土で国民の1/4が参加するテロ反対デモ、そして特定の勢力を犯人にしたてあげようとする政府に異議をとなえるなど、スペイン国民が如何に行動したかが分かる記事である。
 スペイン国民は、劇的な情勢に際して、基本的に自らの意志で国の進路を選択した。スペインの国民に出来て、日本人に出来ない理由があるだろうか。

 今回の参院選、少なくとも小泉政権に国民はNo!の意思表示をしたと思う。しかし、彼の首相は与党過半数を理由に居座るつもりである。
 だったら、少なくとも小泉政権を辞めさせるために出来ることをいまから始めようじゃないか。その機会は、選挙だけじゃない。
 選挙が終わって、ひとりひとりが再び「変わりなき日常」に戻っては、この参院選の結果の意味がなくなる。今までの「変わりなき日常」に、自分の意志を表明するために出来ることの「何か」を付け加えようじゃないか。それが、この国に「変化」を起こすことにつながるのだから。

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えーと、北朝鮮の脅威にさらされてるために日本はアメリカの言うなりにイラクに派兵するしかないとか言ってたみなさん。 ジュンちゃんとジョンちゃんがこんだけ仲良く共謀できてるんですから、もうイラクから撤退し... 続きを読む

  【参院選獲得議席の比較】 政党 '01 / '04 ------------------------ 自民 64 / 49 保守 01 / (自民と合併) 公明 13 / 11 民主 26 / 50 自由 06 / (民主と合併) 共産 05 / 04 社民 03 / 02 (無所属は除く)   [図:朝日新聞より]  今回... 続きを読む

コメント(3)

こんにちは。

仰るとおりですね。同感です。すべてはこのエントリの題名に表されていますね。
たとえ、今回の選挙で小泉退陣が無理だったとしても、それで飽きて(失望して)しまわずにいることが大事と今一度思いました。選挙だけが我々に出来ることことではないのですよね。

はじめまして。PPFVと申します。
正直、今回の参院選の結果については、自民議席減らしたとはいえ、状況から言えばさらに悪化といった印象で落胆しておりました。
おっしゃること確かにそうです。あきらめてる場合ではないですね。

 muuさん、PPFVさん、こんにちは。コメントいただきありがとうございます。本人としては、あとから読み返すとなんだかエラソウに(^^;)書いてて反省しきり、なんですが、こんな文章でも読んでいただいて感謝しております。

 この選挙中に「この選挙が終わったらあと3年国政選挙はない」というフレーズをよく聞いたのですが、それは「あと3年はどういう政治になっても我慢しなきゃいけないの?」という疑問が、この記事を書いたきっかけのひとつです。
 国会だけ見れば、状況は悪化したかもしれません。でも、別に3年間黙っている必要もないわけです。その間、ひとりひとりがいろいろ出来ることをしたら、何かが変えられるかもしれないですし。
 ささやかでもいいから、あきらめないでいたいと思っています。

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