解散総選挙3:小泉政権は、お金の使い方をずーっと間違ってきたのではないだろうか?

 小泉さんは首相就任以来、「改革なくして成長なし」を旗印に、いろんなことをやってきました。しかしそのほとんどは、この社会状況を好転させるどころか、どんどん悪化させていくような結果になってしまったと見ています。

 たとえば金融政策。思い切り単純化して言えば、経済が回復しないのは、お金のめぐりが悪いからだといって、いろんなことをして市場でのお金の流通量を増やしてきました。

 お金は「経済の血液」ですから、これが増えればそれに伴って巡りもよくなる、といって、日銀を使ってじゃんじゃんお金を貸し出させるように仕向けたのですが、金融機関の融資残高(企業などに貸しつけているお金の総額)は減る一方。日銀には、銀行など金融機関がいっぱいお金を貸し出すことができるよう、お金をが沢山たくわえてあるのですが、それは日銀にたまるだけで、一向に市場に出ていこうとしない。
 なんでそうなっているかというと、商品を作ったところでまともに売れない(安くしなきゃ売れない)ようなデフレな状況のもとで、お金を借りるなりして積極的に設備投資に動こうとするところがあるのだろうかと考えれば、お金が動かない理由も想像がつくかと思います。

 が、実際に行われたのは、金融機関の不良債権が大きすぎて利益が出せず、金融機関に貸し出す体力がないのが最大の原因と考え、そんな風に金融機関の経営を傾けた責任を問わずして、税金をつぎ込んで不良債権処理を行わせた、という政策です。そうすれば、金融機関がお金を貸す体力を復活させて、お金が市場に巡りだす、という考えです。で、実際どうなったか。

 海外への輸出を増やした企業や、徹底したリストラ(という名の人減らし)でコストダウンに成功した企業の業績はおおむね回復し、それをもって日本経済は回復基調にあると判断する流れが強まっているようです。しかしそれは、中国やアメリカといった海外の大きな市場にモノを輸出=売ることができたからこその話で、景気回復に大きな比重を占めている内需、特にGDPの6割を占めるという最終消費(個人消費)が上向いているという話はとんと聞きません。要するに、国内で商品を買う動きに大きな盛り上がりはなく、作った商品を輸出するという、高度成長時代の経済構造と基本的に同じ形で、利益をあげているというのが、今言われている「景気回復」のホントのところではないかと思います。

 今回の解散総選挙の直接の原因となった郵政問題でも、小泉さんたちは基本的に同じことをくりかえし言っています。曰く「郵貯の340兆円の資金を、民営化によって市場に流す」と。
 郵政事業の民営化という政策が、10年来の米国筋からの要求でもあった(ソースは調べりゃ見つかりますので、示しません)ことはさておき、最終消費がまた回復せず、輸出や一部産業をのぞき設備投資がなかなか進まない経済環境下においてさらに市場に大金を流そうという政策をおこなおうとする。表向きの説明とは別に、いろいろな隠れた狙いがあるのではないか、とつい勘繰ってしまいます。

 たとえば・・・
 1)何かしらのバブルの再現
 アメリカ経済が、いまやバブルをつないで景気を維持する経済になっているという、金子勝慶應大学教授(経済学)の分析を、氏の著書のどれかで読んだ記憶がある(確か「逆システム学」(岩波新書)だったかな?)が、それを読んで半端ながら考えたのは、バブル経済を再現することで景気回復を図ろうとしているのか、ということ。
 市場や民間(この場合は企業や高額所得者)に使い切れないぐらいお金があって、モノをつくるとかサービスを提供するなどの実体経済が不活性な場合、そういう巨額のお金は有利な投資先、というか投機先を求めて動くもので、大きな利益をあげられそうな投資先(たとえば土地や住宅、または株や債権等の金融商品)が見つかるとどっとお金が集中してバブルが生まれるのは、先のバブル経済の時に見たとおり。で、いま現在それをどこで再現させようというのか・・・もしかして外資?つうことはアメリカさん?

 2)まだまだ隠れている銀行の不良債権処理資金か
 日本の4大メガバンクは、不完全ながらも黒字決算を出すようになってきた。が、しか?し!
 実はまだまだ隠れた不良債権が山のようにあって、もはやおおっぴらに公的資金=税金を突っ込んで処理させるわけにもいかないからって、郵貯の預け入れ限度額を下げて、銀行へ預金が回っていくように仕向けるためか?
 ・・・ってことがあながち妄想でもないかもしれない、ということを経済評論家の森田実氏が書いていらっしゃる(この秋から日本経済に再び恐ろしいことが起きるおそれがある――景気は後退。地方経済はさらに停滞。そして中小零細企業の倒産……。小泉自公連立が勝利すれば日本経済の大崩壊が始まる from 2005年森田実政治日誌[294] 2005.8.28)ので、よろしければご一読を。・・・ちょっとこじつけっぽかったかも。

 いずれにしても、民営化されたからといって、郵貯の巨額のお金が、巡りめぐって国民の懐を暖めてくれるということはなさそうだな、というのが私の今の考えです。その一点から言っても、郵政民営化は到底容認できません。よって小泉政権=自民公明政権は支持できません。

 ・・・ということで、勢いだけで書いてしまったので、間違いなどが含まれていると思いますので、その点は含みおいていただけるとありがたいです。

トラックバック(1)

トラックバックURL: http://www.officemh.com/mt/mt-tb.cgi/146

きくちゆみさんの「民営化されたら郵貯マネーは米国の戦争資金に」(AML2005/8/31) http://list.jca.apc.org/public/aml... 続きを読む

コメントする

アーカイブ

OpenID対応しています OpenIDについて
Powered by Movable Type 7.9.4

SORAMIMI on the tumblr.

powerd by tumblr.com