改憲論者・慶大小林節教授、法をわきまえない政治勢力=小泉政権による改憲に歯止めを、と主張=「しんぶん赤旗」7月7日付

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 改憲論者で知られる小林節慶應大学法学部教授が、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」7月7日に登場し、「法治主義、法の支配、民主主義を心得ない小泉政権」による改憲の動きにブレーキをかける歯止め論を真剣に考えている、と語った。

 残念ながら「しんぶん赤旗」のサイトにはこの記事が掲載されていないので、当日付を手に入れた。以下、その要旨を紹介する。(強調部分は引用者が付加)

 小林教授は、「改憲論に立つ私が、現憲法の全条項の擁護を方針に掲げる日本共産党の機関紙である貴紙(=しんぶん赤旗)に登場することに違和感を覚える関係者がおられるかもしれない」と前置きしてから、例えば自衛隊のイラク多国籍軍への参加問題に見られるように、小泉内閣の、理屈はあとから考える「行け行けどんどん」の状況に直面して、改憲の動きにブレーキをかける歯止め論を真剣に考えており、「その一点において貴紙と共有できる立場があると考える」と、インタビューに応じた理由を語った。

 小林教授は、小泉内閣が行った自衛隊のイラク「派遣」について反対しており、その理由として、アメリカはイラクへ武力で踏み込んでいったが、開戦の根拠となる大量破壊兵器は全く出てこず「主権不可侵という国際法の大原則に反して」いる点と、小泉政権が「戦場と化しているイラクに『非』戦闘地域が存在し、そこへ自衛隊を戦争でなく人道復興支援のために派遣するのだという詭弁を弄して重装備の自衛隊を送り込」んだことをあげた。そしてさらに、多国籍軍に参加するが指揮は受けないという、二重三重に国民を愚弄するごまかしを重ねており、「その根拠とするイラク特措法に違反しているばかりか、憲法に違反しています。主権者である国民をだまし、国家運営の基本である『正義」の原則をないがしろにして」いると語った。
 憲法については、「主権者国民が国家権力(政府)に託した権力を乱用させないために課す規範」で、「国家権力者がヒトラーやサダム・フセインのような独裁者にさせないために、主権者国民が課した枠」であると語り、「イラク『派兵』で日本政府はウソをついて、いとも簡単に国民が課した枠をはみ出し、越えてはいけない一線を踏み越えて」いると指摘。「小泉政権は民主主義をわきまえず権力は国民から負託されているという認識に決定的に欠けています」と非難した。
 そして「政府自らが提案して国会で主権者・国民の承認を取りつけた法律を、かくも乱暴にたばかる政治を見ていると、このように法治主義や法の支配をないがしろにする政治権力に、現憲法以上に使いやすい新憲法を与えてしまっていいのか、と私は深いためらいを感じないわけにはいかないのです」と語った。

 憲法をとりまく現状について、自民・公明に民主までは改憲論で足並みを揃え、参院選を通じてはずみをつけようとしており、その論点の中心は当然のことながら9条にあって、各党は大枠で集団的自衛権を認める方向で一致している、という認識を示した。「過去、現在に渡って改憲議論に参画ないしかかわったことのある私自身の経験から見れば、自民党と民主党は外国人参政権を除けばすべての憲法条項で折り合えます」、「第1自民党と第2自民党(民主党)によって憲法改正案ができあがって、そこへ公明党がついてくる、という改憲実現に向けた図柄が描けます」と指摘した。
 最後に、「法治主義、法の支配、民主主義を心得ない小泉政権には退陣してもらいたいし、このような権力に連なる人々に、いま改憲を行わせてはならないという思い切なるものがあります」と語った。

 現在の政権勢力による改憲に歯止めが必要という思いをにじませたインタビューだった。私は九条を始めとした改変に反対する現行憲法擁護の立場を取る者だが、このような改憲論の中心にいる人でさえ、小泉政権を批判するようになっているのだから、如何に彼の政権が酷いかということが容易に想像できる。最近では珍しい面白いインタビュー記事だった。著作権法その他の関係で全文は掲載しなかったので、興味のある方は、是非しんぶん赤旗の当日付を手に入れることをお薦めしたい。

関連サイト:
しんぶん赤旗サイト
小林節 - Wikipedia
慶應義塾大学法学部法律学科研究会・小林節研究会

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改憲論者で知られる慶応大教授の小林節氏が、(なんと!)「しんぶん赤旗」(7月7日)に対し、「法治主義、法の支配、民主主義を心得ない小泉政権」による改憲の動きにブレーキをかける歯止め論を真剣に考えている」と語ったとのこと。 詳しくは、こちらへ(M.H.Squareさ... 続きを読む

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