教育基本法「改正」案衆院通過の日に

 教育基本法「改正」案が衆議院を通過したその日は、朝から所属する労働組合の街頭宣伝に参加していた。
 朝は会社の近くの駅で、「教育基本法改悪に反対します」の小さなビラの入ったティッシュを配る。50分ほどで、用意した400個のティッシュがなくなった。「ティッシュはやっぱり受け取りがいいよね」と同僚の組合員。たとえティッシュ目当てでも、メッセージが目に入ることは悪いことではないと思う。

 衆議院本会議で与党が単独で採決、とのニュースを聞いた後、銀座マリオン前で所属する労組が行う街頭宣伝に参加する。午後6時からの予定だったので、少し早めに行くと、
野党4党(民主、共産、社民、国民新党)がそろって街頭演説をしていた。そういえば4党の幹部がそろって街頭演説をするところなど、いままで見たことがなかったなあと妙な感慨にふける。行ったときの弁士は鳩山由紀夫氏、「この法案は、まだまだ2年も3年もかけてきっちり審議をする必要がある」との由。至極もっともである。

 6時に街頭演説が終わったその場所で、朝配ったのと同じティッシュと、教育基本法改悪反対署名をもって宣伝を始める。野党4党の街頭演説の直後で、なぜかやりにくさを感じたが、とにもかくにも声を出してティッシュを配り署名を呼びかけた。45分ほどでティッシュ500個がなくなり、署名が約30筆ほど集まった。こんな状況下で心もとない数字かもしれないが、それでも少し反応があったことはきちんと見ておきたい。

 宣伝が終わって事務所に帰るために乗ったタクシーで、運転手さんが何の宣伝かと聞いてきた。同乗した別の組合員が教育基本法改正に反対する署名だと説明したところ、用紙をくれと言ってきた。自分の会社の労組で署名を取るという。感謝して残った署名用紙と名刺を渡した。ささやかかもしれないがやはりうれしい。

 立花隆氏が、「Nikkei BPNet」で今回の教育基本法強行採決を痛烈に批判していた(立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」:「第90回 踏みにじられた教育基本法審議 安倍アナクロ強権政治の誕生」 from Nikkei BPNet 2006.11.17)。
 いわく、無理やり採決して1ヵ月後の会期末での自然成立を待つという手法は、1960年に安倍首相の祖父である岸信介首相(当時)が、日米安保条約改定でやったことと同じである、と。
 安倍氏の言う「闘う政治家」とは、自らの考えを無理やり押し通すこと。いろんなところでそんな指摘を政権発足前後から見聞きしていたが、まさにそのとおりになった。そしてそのやり方は、悪名高き岸政権と同じとは。
 先送りなどといわれていた共謀罪創設案も、どうやら再び採決に持ち込もうという動きが出てきているらしい。

 安倍氏をまじめでナイスガイなどとエールを送る人もいるようだが、だからこそ危険な人じゃないかと思う。権力を握った「まじめな」人間の思い通りに政治を動かされたら、民主主義も何もあったもんじゃない。ましてや安倍氏は、かのNHK番組事前介入問題で「民主主義」が何たるかを理解していないことを、自ら意識せず明らかにしてしまった「実績」がある。「まじめ」に国を憂いているかもしれないが、その「まじめ」さは、自ら(と同調する者たち)の思いにのみ到るものでしかないから「危険」なのだと、改めて思う。

 力及ばず衆院通過を許してしまった思いを忘れず、引き続き出来ることをしていきたいと思う。

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